子どもの貧困を学ぶ「知的コラボ」の会を開催しました

貧困・格差

 2024年12月18日に、「貧困・格差・虐待の連鎖を乗り越える教育アプローチの開発と普及」のプロジェクトの一環で、京都大学総合研究2号館 第一講義室において、第58回「知的コラボ」の会を開催しました。

 「知的コラボ」の会とは、京都大学大学院教育学研究科 教育実践コラボレーション・センターが開催する学内向けの勉強会です(*1)。

(*1)「知的コラボ」の会についてはこちらをご覧ください。
 (京都大学大学院教育学研究科 教育実践コラボレーション・センターのホームページに移動します)

 今回は講師として、移民研究、社会階層論がご専門のCardiff大学のSin Yi Cheung教授をお招きしました。ウェールズにおいて児童福祉サービスを受けているエスニック・マイノリティの子どもが経験する、教育達成や保健サービス利用をめぐる不平等についてご報告いただきました。

 3つの行政データをリンクして実施された分析の結果からは、社会福祉サービスの介入はエスニック・マイノリティの子どもには低い効果しか持たない可能性がある一方で、児童福祉システムにおいて、学業成績の良い黒人やその他のエスニシティの子どもが選択的に社会的養育に措置、委託されている可能性が示唆されました。

 社会的養護出身者が教育達成に困難を抱えることや、貧困に陥るリスクに直面していることは、日本でも複数の研究で報告されており、エビデンスにもとづき対策を考えることが急務となっています。

 しかしながら日本では行政データに研究者がアクセスするハードルが高く、なかなかそうした取り組みが進んでいません。

 そうしたこともあり、複数の行政データをリンクした結果、非常に高い社会的意義を持つ研究結果が得られていることに、フロアの参加者は大変刺激を受けていました。質疑も活発に行われ、充実した会となりました。

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