2025年8月8日から12日にかけて、「誰もが生前・死後の尊厳を保つための持続可能な身じまい・意思決定とその支援」のプロジェクトで、高齢者の意思決定支援についての調査のため、韓国ソウルを訪問しました。この記事では、調査の概要をお伝えします。
調査の目的
日本と同様に高齢化が進む韓国において、どのように身じまいを支えているのかを調査することで、日本の社会のあり方への示唆を得ることが期待できます。とくに、医療における意思決定の観点では、韓国で2016年に制定され2017年から施行されている法律である「ホスピス・緩和医療および終末期患者の延命医療の決定に関する法律」(延命医療決定法)(*1)が注目されます。この法律はホスピス・緩和医療の整備を謳うと同時に、患者の事前指示に基づいた延命治療の差し控えや中止について規定したもので、その内容や実施状況について日本でも注目されているものです。
また、韓国では、2024年に成立した「医療・ケア統合支援に関する法律」(統合ケア支援法)の2026年度施行を控え、高齢者を中心とした医療・ケア体制の自治体レベルでの整備をどうするのかも新たに注目すべきところです。
そこで、韓国の制度や文化について、取り組みが進んでいる医療分野やこれから整備が進む地域ケア体制を中心に調査し日本と比較することで、日本の今後の社会のあり方への示唆を得ることを目標としました。
(*1)韓国「ホスピス・緩和医療および終末期患者の延命医療の決定に関する法律」の翻訳はこちら(「東アジアにおける高齢者の意思決定支援の倫理的・法的課題に関する国際共同研究」のホームページに移行します)
訪問先と調査内容
8月9日
ソウル市内にあるソデムン(西大門)区の区議会を訪れ、ソデムンの区議とマポ(麻浦)区の区議、および韓国南東部にあるウルサン(蔚山)を中心に活動している社会起業家の3名と、2026年施行予定の統合ケア支援法を中心に、高齢者支援に関するディスカッションを行いました。

8月10日
高麗大学アナム(安岩)病院で緩和ケア医をしている家庭医の方をお招きし、高齢者の医療に関わる様々な問題について意見交換を行いました。

8月11日
午前中は、ソウル市立ノウォン(蘆原)高齢者総合福祉館の見学を行いました。また午後は、ソウル大学病院を訪れる組と、 ハナ銀行のリビングトラストの元職員および現職員と議論するために法務法人和友を訪れる組に分かれました。前者は高齢者の医療や地域における日常生活支援について、後者は財産管理に関するサービスについて、意見交換を行いました。


これらの調査を通じて、高齢者の医療や社会福祉、また財産管理に関する韓国の取り組みや課題を詳しく学ぶことができました。
次回から、それぞれの調査先についての詳細を発信していきます。