デジタル・イノベーション人材の打ち手!SMBC京都ニューロダイバーシティセミナーを開催しました

DE&I・人権

 ニューロダイバーシティ、すなわち脳や神経の多様性を個性と捉え、相互に尊重し社会で活かすという考え方が、今、人的資本経営の鍵を握っています。SMBC京大スタジオでは、「発達障害特性がある人材の就労における能力発揮支援」プロジェクトとしてこの概念に注目し、担い手不足が叫ばれる高度・先端IT業務における発達特性のある方々の活躍を目指しています。

 プロジェクトの一環として、2025年11月11日(火)に、株式会社三井住友銀行 京都営業部と協働で「SMBC京都ニューロダイバーシティセミナー」を開催しました。

 セミナーには、製造業・IT通信業を中心とする多くの企業から、経営層から人事担当者まで幅広い層の方々が参加されました。ニューロダイバーシティの推進を検討中の企業が過半数を占めるなど、産業界での関心の高まりを感じました。

 こちらの記事では、セミナーにおける基調講演、実験体験プログラムの様子をお届けします。

基調講演:経営戦略から個人の特性理解まで

 講演は、プロジェクト代表の木村智行研究員(株式会社日本総合研究所 創発戦略センター)と義村さや香先生(京都大学 医学研究科 准教授)に登壇いただきました。まず木村研究員よりマクロな経営戦略の視点から現状と必要性を解説。続いて義村先生よりミクロな個人の認知特性に焦点を当てて解説いただき、理論・実践の両輪での理解を促す構成で展開されました。

経営におけるニューロダイバーシティの重要性、実践知の共有

 講演の口火を切ったのは、プロジェクト代表の日本総研/木村研究員です。木村研究員は、まずマクロな視点から、ご自身の専門テーマである「発達障害がある人の就労機会の現状」を解説いただきました。従来の定型発達を前提とした就労環境との間に生じるミスマッチが、彼らが持つ高度な潜在能力を企業が活用できていない現状を生んでいると指摘されました。

 イノベーションが加速する時代において、企業が競争優位性を得るためには、この未活用の人的資本を戦略的な資産として捉える「ニューロダイバーシティマネジメント」へのシフトが不可欠であると力説いただきました。ニューロダイバーシティマネジメント研究会でのIT業務職業体験プログラムの事例も紹介されました。

認知機能から探るニューロダイバージェント人材の活躍可能性

 続いて登壇したのは、同じくプロジェクト代表の京都大学 義村先生です。木村研究員が示した戦略の必要性に対し、その根幹となる個人の特性に焦点を当てて解説しました。

 義村先生は、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD) といった神経発達症の認知特性を、脳の情報処理の多様性という観点から提示されました。「なぜ、特定の業務で驚異的な能力を発揮しうるのか」という問いに対し、医学的な知見に基づいて明快に答えました。

 自閉スペクトラム症(ASD)の「全体像に惑わされず、部分に注目する傾向」や「反復作業への耐性」、「こだわりを突き詰める傾向」といった特性は、データ分析、セキュリティ、非定型な問題解決といった高度IT領域で、「スペシャリスト」 として卓越した能力発揮につながる可能性を提示されました。また、注意欠如・多動症(ADHD)の「突破力」や「破壊的革新性」、「時間に対する独特の感性」といった特性は、変化の激しい現代において、新しい価値を生み出す「イノベーション人材」としてのポテンシャルを持つことを示唆されました。

実験体験:能力発揮を示す可能性の体感

 本セミナーの大きな特徴は、単なる知識の共有に終わらせず、共同研究の一環である「能力発揮に関するエビデンス取得の場」を参加者に体感していただいた点です。

 発達特性(とりわけASD)を持つ方が能力を発揮しやすいと考えられる高度・先端IT業務を想定した独自のテスト環境を提供しました。参加者には、そのテストを実際に体験いただくことで、特定の認知特性が特定の業務領域で極めて高いアウトプットを生み出す可能性を肌で感じていただきました。

まとめ:プロジェクト代表からのメッセージ

 本セミナーは、理論、実践、そして研究の最前線を体感することで、ニューロダイバーシティ経営への理解を深める貴重な機会となりました。

京都大学 義村先生

 「認知特性を知ることは、当事者の行動に対する理解につながります。こうした知識と視点が、個々の強みを引き出すマネジメントに活きればよいなと思います。」

日本総研 木村研究員

 「当事者の特性を深く理解し、それを活かすためのマネジメントの強化が必要不可欠です。イノベーションの重要性が叫ばれる時代だからこそ、この取り組みを今、始めてみてはいかがでしょうか。」

事務局からの結びの言葉

 SMBC京大スタジオでは、ニューロダイバーシティの推進に向けた研究・発信を続け、企業や組織の皆さまと共に取り組みを形にしていきたいと考えています。ご関心をお持ちの方は、ぜひお声がけください。一緒に新しい未来をつくりましょう。

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