
発達障害特性がある人材の
就労における能力発揮支援
プロジェクト内容
取り組む社会課題
発達障害特性(*1)がある人材は、特性と環境のマッチングにより能力発揮が可能とされており、海外を中心に活躍事例が生まれています。しかし、国内では身体障害等の他の障害種別と比較して就職率が低く、日本総合研究所では、非就職者数は240万人と推計しています(*2)。こうした状況は、就労における発達障害特性に対する合理的配慮が不十分であることが直接的な要因の一つと考えられます。
一方で、発達障害特性のうち、自己の客観視や他者とのコミュニケーションが苦手という特性を踏まえると、職場環境とうまくマッチングしない場合に合理的配慮を求め自ら働きかけることは困難です。結果として、職場において十分な能力を発揮できない、失敗が重なるといった不適応の蓄積によるメンタルヘルスの不調を通じて、不安定な就労や長期的な就労不能に至る例が後を絶ちません。また、社会全体でみれば発達障害特性のある人材が十分に活躍できていないことは、人口急減期における労働人口確保の観点からも早急に取り組むべき課題といえます。
(*1)発達障害とは
発達障害は、生まれつきの脳の働き方により、物事の捉え方や感じ方、行動パターンに定型発達者(発達障害のない人)との違いが生まれ、そのために生活に支障が出やすくなる状態です。苦手なことはありますが、特徴と環境が合えば「苦手」が「強み」に変わることもあります。例えば、几帳面さや丁寧さ、論理的な思考や行動、豊富なアイディア、高い行動力や集中力の発揮といった形で、強みを活かすことができます。
症状の出方は人によって様々であり、周りの人からは症状が見えにくい方もいますし、複数の発達障害が重複することもしばしばあります。また,図にお示した以外にも、長引くチック、吃音などがある場合にも、発達障害と診断される場合があります。
(*2) 出所:日本学生支援機構「令和4年度(2022年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査_結果報告書」、総務省「令和4年版 情報通信白書」、文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」より日本総合研究所が推計
アプローチ
本研究では、高度・先端IT領域における業務・作業を対象とします。特に、細かい点に気づく、反復作業への耐性、即座の反応等が求められる高度・先端IT領域では、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)の特性が強みとなる見込みがあるため、また人手不足が顕著であり就労機会の創出が期待できるためです。具体的には以下の点につき定量・定性的に評価し、発達障害特性のある人材が活躍するための環境整備の手法として取りまとめ、支援体制・ツールを整備し、普及・啓発してまいります。
(1)「業務・作業内容や就労現場の環境因子等」と「発達障害特性のある人々の身体やメンタルヘルスの状態等(=就労におけるパフォーマンス)」との関連
(2)「企業のマネジメント人材と発達障害特性のある人とのコミュニケーション等」と「両者のパフォーマンスや身体・メンタルヘルスの状態等」との関連
本プロジェクトで行うこと
- 環境因子と発達障害特性のある人の心身状態の関係の測定・分析(実験室内)
- 海外事例の調査
- 実務環境における発達障害特性のある人とマネジメント層の相互の影響の測定
- 実務環境でのマネジメント手法の効果的な運用に係る支援体制・ツール等の整備
- 発達障害特性のある人のための環境整備に関する普及・啓発
プロジェクト代表
プロジェクトメンバー
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京都大学医学研究科
脳病態生理学(精神医学)
准教授
藤原 広臨 (ふじわら ひろのぶ)
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理化学研究所 ガーディアン
ロボットプロジェクト心理プロセス
研究チーム チームリーダー
京都大学フィールド科学教育研究
センター 連携准教授佐藤 弥 (さとう わたる)
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京都教育大学保健管理センター
教授
京都大学医学研究科 客員研究員
上床 輝久 (うわとこ てるひさ)
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筑波大学 人間系障害科学域
准教授
京都大学医学研究科 客員研究員
魚野 翔太 (うおの しょうた)
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京都大学医学研究科
人間健康科学系専攻
先端作業療法学講座 特定助教山田 晶子 (やまだ あきこ)
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京都大学学生総合支援機構
障害学生支援部門
(特定専門業務職員)
コーディネーター嶌田 裕子 (しまだ ゆうこ)
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京都大学医学部附属病院
精神科相談室
精神保健福祉士米田 拓矢 (よねだ たくや)
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株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
インキュベーションプロデューサー水嶋 輝元 (みずしま てるもと)
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株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
コンサルタント山内 杏里彩 (やまうち ありさ)
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株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
竜石堂 未来 (りゅうせきどう みく)
発達障害特性のある人々の多様性が認められ、得意分野で能力を発揮し活躍できる環境整備を目指します。