酵素を活用したどこでも誰でも使える
CO資源化技術の開発・実装

酵素の力を活用し、常温・常圧でCOを資源化することで、どこでも誰でも使える持続可能な脱炭素社会の実現を目指します。

プロジェクト内容

取り組む社会課題

 人類の存亡に関わる最重要課題「CO削減」に挑みます。産業革命以降、大気中のCO濃度は増え続け、このままでは今後20年で気温が1上昇するとの予測もあります。2050年までにCO排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル、そしてその先を見据えたカーボンネガティブ(*1)な社会の実現が望まれています。

 現在、COの回収・利用・貯留を行う技術(CCUS技術)が世界中で開発されています。しかし、既存のCO利用技術の多くは、COを資源化するのに高温や高圧の反応条件が必要で、大量のエネルギーを消費します。このため、COを排出しないエネルギー源を大量に確保することが大きな課題です。また、COを地下に貯留する技術は、CO貯留による環境リスクが完全に解消されているわけではなく、根本的な解決策として疑問視する声もあります。

 私たちは、既存のCCUS技術が抱える「高温高圧」と「エネルギー消費」という課題に対し、ユニークなアプローチで挑みます。

(*1) COの吸収量が経済活動によって排出されるCOの排出量を上回る状態を指します。COの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」よりもさらに強化された取り組みといえます。

アプローチ

 物質循環の視点から、持続可能なCO資源化技術を開発し、世界のCO削減に貢献します。具体的には、電気を流す特別な酵素と、ガス拡散型電極を組み合わせることで、常温・常圧・中性の環境で、空気中のCOを電気の力で別の物質に変える技術を開発しています。この技術は「どこでも・誰でも使える」という大きな特長を持ち、安全かつ身近な脱炭素ソリューションとして広く普及させることを目指します。

 この技術でCOをバイオ資源化することで、メタン発酵や醸造、人間の呼吸など、日常生活で発生するCOも回収できます。これらのCO排出量は、日本国内で年間5,000万トン(*2)と推定されており、これは2050年に回収すべきCO量の約4分の1に相当します。

 再生可能な酵素と持続可能なエネルギーで動くこの技術は、COから新しい製品をつくるバイオものづくりと組み合わせることができます。COの資源化から製品化までを一貫して行うことで、真のカーボンニュートラルに向けた社会変革を実現します。

(*2)出典:①経済産業省(2021)_2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略、②NEDO(2020)「CO分離・回収技術の概要」

本プロジェクトで行うこと

  • 低濃度CO回収機能電極の開発
  • 気相COの生物電気化学的資源化の事業化検討
  • 2050年以降の持続可能な社会に向けた基盤構築

プロジェクト代表

京都大学 大学院農学研究科
応用生命科学専攻
助教

宋和 慶盛 (そわ けいせい)

詳細はこちら

株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
インキュベーションプロデューサー

野田 賢二 (のだ けんじ)

詳細はこちら

プロジェクトメンバー

  • 京都大学 大学院農学研究科
    応用生命科学専攻
    特定研究員

    蔡 豪亮 (さい ごうりょう)

    詳細はこちら
  • 京都大学 大学院農学研究科
    応用生命科学専攻
    特定研究員

    足立 大宜 (あだち たいき)

    詳細はこちら
  • 京都大学イノベーションキャピタル株式会社
    客員起業家

    松本 凌 (まつもと りょう)

    詳細はこちら
  • 東海国立大学機構名古屋大学
    未来社会創造機構
    特任講師

    谷村 あゆみ (たにむら あゆみ)

    詳細はこちら
  • 株式会社日本総合研究所
    創発戦略センター
    シニアコンサルタント

    福山 篤史 (ふくやま あつし)

    詳細はこちら